午前0時以降の深夜に営業するバーやスナック、居酒屋において避けては通れない問題が「接待行為について」です。
午前0時以降にお酒をメインに営業する店は「深夜酒類提供飲食店営業」にあたり、風営法によって管理されています。
これから自分で深夜営業の飲み屋さんとして店を持とうとしている方や、すでに店を持っている方は耳にしたことがあるかもしれませんが、この深夜酒類提供飲食店営業では接待行為が禁じられているのです。
このページでは「接待行為って具体的に何を指すの?」、「どこからが接待行為なの?」、といった疑問、不安にお答えしたいと思います。
Contents
接待とは何なのか ~風営法上の意味~
「風営法に関する解釈運用基準」において接待とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と書かれています。この意味はひらたく言えば、特定の客またはグループに対して、店側が飲食行為に通常必要とされる以上の会話やサービス行為を行うことです。
誰が行うと接待行為にあたるのか
通常の場合、接待を行うのは店のオーナーやその従業員が多いですが、例えば料亭で芸者さんがお酌をする場合も接待行為に当たります。店側の了解のもと、客を装った人(いわゆるサクラですね)が接待する場合も含まれます。
また、接待は通常異性によることの方が多いですが同性同士でも接待になります。新宿2丁目界隈のバー(もうおわかりだと思いますが・・)などがそうですね。
どこまでOKでどこからが接待行為になる?その判断基準
「風営法に関する解釈運用基準」では下記の行為が接待であるとしています。
談笑・お酌等
特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待行為に当たる。
これに対して、お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為、客の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為は、接待に当たらない。 風営法に関する解釈運用基準より
たまに聞きますが、ガールズバーなどでカウンター越しの会話だから接待にあたらない、というのは間違っています。カウンター越しであっても特定の客とずっとしゃべっていると接待になるわけです。
他にも例を挙げましょう。サラリーマンが行きつけのバーで馴染みのマスターに仕事のグチを聞いてもらったり、人生相談をするのも立派な接待です。杓子定規に風営法を当てはめるなら、ドラマや映画で観たことのあるようなこんな光景すらも、深夜営業のバーではダメということです。個人経営のマスター、あるいはママが1人で切り盛りしている小さなバーやスナックで「社交儀礼上の挨拶」や「若干の世間話」くらいしかしないお店に誰が行くでしょうか。このあたりに現行の風営法は、現場の実情とのギャップがある(はっきり言ってしまえば時代遅れ)と感じるのは私だけではないでしょう。
ダンス等
特定の客やグループに歌やダンスやショウを鑑賞させるのは接待に当たります。
これに対して芸能人のディナーショーのように不特定多数の客に対して鑑賞させるのは接待に当たりません。
カラオケ等
特定の客(・・以下略)の近くについてカラオケを勧めたり、歌の最中に手拍子をとる、拍手をする、ほめはやす、デュエットをする行為は接待に当たると、風営法の解釈運用基準にはっきりと記載されています。
これに対して特定の客・・の近くにつかずに手拍子や拍手をする、単に客に頼まれてカラオケの準備をする行為は接待に当たりません。
ゲームなど
客と一緒にトランプやダーツなどゲームをする行為は接待に当たります。
これに対して客同士でゲームを行う場合は接待に当たりません。
その他
客と身体を密着させたり、手を握るなど接触する行為、口許まで差し出して食べさせる行為は接待に当たります。これに対して、社交儀礼上の握手や、酔客の介抱のために必要な限度の接触は接待に当たりません。
いかがでしょうか。皆さんがイメージする「接待」という言葉のイメージとさほど違いはないのでしょうか。漠然と「これってきっと接待だよなぁ?」と思っていた行為は大体、接待に当たっていたのではないでしょうか。
接待行為と深夜営業について残る疑問
さて、ここまで読んでいただいて、風営法における「接待行為」の意味についてある程度理解していただけたと思います。
ここで疑問となるのが、結局のところ接待行為を伴う深夜営業の飲み屋というのは営業可能なのか?ということでしょう。
結論から言うと、現在の法律で深夜0時以降に営業する飲み屋で接待行為の伴う営業は不可能です。なぜなら接待行為がある飲食店の場合、風俗営業第1号の許可が必要なのですが、この風俗営業第1号は一部の例外を除いて午前0時までの営業しかできません。
そしてこの風俗営業第1号許可と、深夜酒類提供飲食店営業は同時にとることができないからです。
接待行為を優先して、風俗営業第1号許可をとるのか、あくまでも0時以降の営業にこだわって深夜種類提供飲食店営業の届出をするのか、それぞれのメリット・デメリットを考えた上で選びましょう。