ガールズバーとキャバクラの違い
ガールズバーは一般的に女性バーテンダーがカウンター越しにお酒を作ったり客と会話したりという接客をするスタイルです。この点で特定の客のそばに座って談笑したりお酒を作ったり、お酌をしたりするキャバクラとは決定的に違います。
キャバクラでされるこれらの行為を風営法では「接待行為」といい、その内容を規定しています。
この違いによって、ガールズバーは「深夜酒類提供飲食店営業」の届出をすることで午前0時以降も営業することができるのです。
ガールズバーのメリット
一方で接待行為のあるキャバクラは風俗営業にあたるため、ガールズバーと同じ深夜酒類提供飲食店の届出では営業できず、「風俗営業の1号許可」をとらなければなりません。
この風俗営業の1号許可をとれば、お酌などの接待行為ができるのですが、深夜酒類提供飲食店営業よりも許可をとるためのハードルが高いうえに、午前0時以降は営業できない(一部例外的に午前1時まで可能な地域もある)というデメリットがあります。
多くのガールズバーが深夜酒類提供飲食店の届出で営業しているのは、
①キャバクラの営業で必要な風俗営業ほど許可の基準が厳しくない
②午前0時以降も営業できる
という2つの大きなメリットがあるからなのです。
メリットの陰に潜むリスク
当然、深夜酒類提供飲食店の届出をしているガールズバーでは接待行為はできません。
接待行為を行うと風俗営業の無許可営業となり、最高で200万円以下という厳しい罰則が適用されます。
※接待行為について詳しく知りたいかたはこちらのページを読んでください。⇒接待行為について
風俗営業許可をとらないガールズバーなどで接待行為を行ったとして摘発され、経営者が逮捕されるニュースは時々目にしますが、近年では経営者だけでなく接客をしていたバーテンダーの女性従業員までもが逮捕されるケースもでてきました。
風営法上、実はグレーなガールズバー
そもそも、ガールズバーの実態が風営法上グレーであると言わざるを得ないのが実情です。
ガールズバーはカウンター越しの接客だから接待行為にはならない、なんてことを聞いたことがないでしょうか?これは明らかな間違いです。
例えば指名制などがあれば、カウンター越しであってもその女性バーテンダーと話すことが目的のサービスなので、警察側からすれば完全に接待行為があるとみなされるでしょうし、カウンター越しに客の手を握ったり、一緒にゲームをする、カラオケでデュエットするといった行為も、それ自体が接待行為です。
こうしたサービスをウリにする店ならば、ガールズバーと名乗っていても、キャバクラと同じ風俗営業の1号許可をとらなくてはなりません。
そしてその場合、原則的に午前0時までしか営業できません。あくまでも深夜のバー形態での営業をするならば、これらのサービスはできない、ということになります。白黒がはっきりしていますね。
本題のグレーな部分とは実は客との会話です。カウンター越しであっても長時間特定の客と談笑すれば接待行為になってしまうのです。
風営法上も「〇〇分以上の会話は接待行為」などと書いているわけではないので、結論を言うと最終的には警察の判断です。ここが、ガールズバーは風営法上グレーである理由の一つです。
実際に働いたことのある女性の方、何度か行ったことのある男性の方なら経験があるはずです。ある程度の期間働いていれば、あるいは何度か同じ店に通えば、バーテンダーと客でも顔なじみになります。そうなれば挨拶以上の会話もするでしょう。
そもそもガールズバー自体、お酒を飲んでバーテンダーの女の子と楽しく話したい(あわよくば口説きたい・・)という男心を突いた営業のお店なのですから当然です。
また女性バーテンダーも1人の人間です。ちょっとタイプの男性客ならテンションが上がって会話も弾むかもしれません。
リスクに備えて
じゃあ、具体的にどうすりゃいいの!?ということなのですが・・
オーナーの立場ならばあらかじめ「特定の客との会話は5分以上続けないように」などのルールをスタッフであるバーテンダーに徹底させる。そして会話が続きそうになったら、グラス磨きや食器洗いなどをして(するフリでもいい)一旦はその場を離れるように、といったテクニックも含めて教えておく。
バーテンダーの立場なら、最悪の場合、自分自身も摘発されることがあり得るんだということを頭の片隅において、特定の客との長時間の会話は避け、続きそうなら他の仕事のために、一旦はその場を離れるなどして間をあけて接客にあたるようする。
こうした各々の意識が大事です。
実際のところ警察が摘発に乗り出すのは殆どの場合、店の実態を調べたうえで、完全に黒であるとウラをとってからです。
オーナー、バーテンダーそれぞれが接待行為というものをある程度理解して、上記のように接客していれば今の段階では摘発されるリスクは少ないでしょう。店としても堂々と「接待行為はありません」と主張すれば良いのです。
蛇足ですが、この記事ではガールズバーとして紹介しましたが、これがボーイズバーやゲイバーであっても同じです。ご参考までに。