このページでは午前0時以降の深夜まで営業するスタイルでバーやスナックなどを開業する場合の届け出にあたって、出店するエリアやお店内部の構造など、最低限クリアしなければならない3つの要件について解説します。

 


なお、深夜営業の届出のページでは深夜営業の飲み屋さんを開業しようと考えている方へ、営業するにあたって必要な届出と、無届で営業することのリスク、そもそも届出ってどこに対して何をすればいいの?といった届出の全体像を解説しています。まだ読んでいない方はぜひ、そちらから目を通していただくことをお勧めします。

まず前提として、午前0時以降に営業する飲み屋は風営法上の「深夜における酒類提供飲食店営業」(以下:深夜酒類提供飲食店営業)にあたり、法律(と各都道府県の条例)でその営業について管理されているといえます。

 

①店舗の所在地が深夜酒類提供飲食店営業が可能な地域にあること

各都道府県の条例によって深夜種類提供飲食店営業をしてはいけない地域が定められています。ちなみに私が住む新潟県では「住居専用地域」、「住居地域(一定の条件で可能地域も一部ある)」が禁止地域となっています。現実的には、多くのケースで「商業地域」に出店することになるのではないでしょうか。

これから出店しようとしている物件の所在地がこの禁止地域に該当していないか、物件の契約をする前に必ず確認しなくてはなりません。

なお、出店しようとしている物件が営業の可能な地域と禁止地域の境界線上にある場合、やはり届出はできません。ちなみにこれら住居地域や商業地域などをひっくるめて「用途地域」と呼びます。

 

前の人もここで深夜営業をしていたから・・と勧められ確認もせずに物件を契約してはいけません。その人はきちんと届出をしていたでしょうか?店舗の賃貸契約をして、開店準備も大詰めになり、さあ、あとは届出をしてオープン!という段階にきて、実は深夜営業の禁止地域でした・・ではシャレになりません。

後述の構造設備上の要件や飲食店営業許可はあとから何とかなる部分もありますが、用途地域だけは自身の力ではどうしようもありません。何よりもまず真っ先に確認しなくてはならないことなのです。

さて、その用途地域の確認方法ですが、各地域を管轄する市役所の都市計画課(名称は異なる場合もあり)に問い合わせましょう。

どの課なのかわからない時は市役所の総合窓口に「用途地域について教えてください」と尋ねれば担当部署へ取り次いでくれますので出店を考えている店舗の所在地を伝えましょう。

なお、新潟市であれば市のウェブサイトの「都市計画情報システム」で確認できます。便利ですのでぜひ利用してみてください。

②店舗の構造、設備上の基準を満たしていること

これについては以下の通りです。

客室の1室の床面積を9.5平方メートル以上とすること ただし、客室が1室のみの場合はこの制限はなし

客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと

※目安としては1メートル以上の高さのしきりなどがあってはいけないということです。

善良の風俗又は清浄な風俗環境を害する恐れのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと

ヌード写真やポスターなどの卑猥な掲示物はダメ、ということです。

客室の出入口に施錠の設備を設けないこと ただし店外への出入口となる場合は除く

※風営法の観点からすると、深夜営業の飲食店において、鍵のかかる個室でいかがわしいことが起こらないように、ということなのでしょう。

店内の照度が20ルクス以下とならないように維持するため必要な設備があること

※実際に20ルクスとなると、上映前の映画館程度の明るさとなります。これはバーや居酒屋など様々なスタイルのお店があるので一概には言えないのでしょうが、個人的にはバーの雰囲気を出すにはちょっと明るすぎると思っています。

明るさを調節する調光器(スライダックス)をつけたらどうか?と思われるかもしれませんが、これがNGなのです。照明はオン、オフのみのスイッチでなくてはなりません。

騒音、振動の数値が条例で定める数値に満たないようにするための設備、構造があること

新潟県の場合、一般的に深夜酒類提供飲食店営業の届け出が可能な「商業地域」においては50デシベルとされています。※一部ですが一定の条件下で営業可能な「住居地域」では45デシベルとされています。

以上が構造、設備上の基準です。クリアすること自体はそれほど難しい条件ではないと思います。

③飲食店として保健所の営業許可を得ていること

バーやスナックは飲食店である以上、保健所の営業許可が必要です。深夜酒類提供飲食店営業の届出をする際、飲食店営業許可証の原本がないと警察署で受け付けてくれません。届出をする前にあらかじめ用意しておかなくてはなりません。

まとめ

いかがでしょうか。やはり注意しなければならないのは、1.営業可能な地域なのかどうかです。2.の構造、設備上の基準については、大がかりな工事などは不要なケースがほとんどですし、3.の飲食店の営業許可もさほど厳しい条件ではありません。営業開始日が差し迫っている場合は別ですが・・

しっかりと確認して店舗選びは慎重に行いましょう。