自分自身でバーの深夜営業の届出をするにあたって、おそらく一番の難関となるのが営業所の図面、つまりあなたの店舗図面の作成でしょう。用意する図面は1種類ではなく最低でも下記の4種類が必要です。
1・営業所平面図
2・営業所面積の求積図
3・客室・調理場・その他の求積図
4・照明・音響設備図
このページでは、1・営業所平面図の作成のポイントについて解説します。
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図面はどうやって作るの?
まず、基本的に図面作成はCADという製図ソフトで作成します。手書きでも書けないことはないのですが、警察署によっては手書き図面は受け付けてもらえない場合があるようです。また、図面自体にかなりの精度を求められるので、個人的には手書きで作成するのは正直なところ困難だと思います。
さてそんなCADのソフトについてですが、「JW_CAD」がおすすめです。無料でダウンロードできるソフトですが、深夜営業届出、あるいは風俗営業許可の申請のための図面作成としては十分な性能です。
そして入門書が書店でも豊富にあるうえに、インターネットを検索すればこのソフトを使いこなすためのノウハウを公開しているサイトや動画が、これまた豊富にヒットします。
もっとも、実際に使いこなすにはそれなりの時間がかかることは覚悟した方が良いでしょう。
こちらのリンクからダウンロードできます⇒JW-CAD(Windows版)ダウンロードサイト
なお本サイトではCADソフトの使い方についての解説は最小限にとどめ、あくまでも風営法における図面作成という観点からポイントを絞って解説したいと思います。
実際に店内を計測してスケッチしよう
ところで店舗を賃貸契約した際に不動産屋から渡される図面はほとんどの場合、建築設計図面です。
一方、風営法で求められる図面は、その法で定められた構造設備をクリアしていることを詳細に示す必要があり、建築図面とは記載内容が違います。
図面作成時の参考にはなると思いますが、深夜営業届出や風俗営業許可の図面として建築図面をそのまま使うことはできません。
さて、それでは自分の店舗を計測して手書きでスケッチするところからスタートです。距離の計測はレーザー距離計を使い正確に行います。測る場所によって普通のメジャーと使い分けます。
店内を時計回り(逆でも可)にすべての壁の長さを内のりで測りましょう。そして店内を真上から見下ろした視点で図面をスケッチします。
店内を囲むすべての壁の長さをスケッチした図面上に書き込み、それらのデータを基にCADソフトを用いて正確な図面を作成します。
下の作成例をご覧ください。なお図面上、距離はm(メートル)単位で小数点第2位(つまりcm)まで記載します。
レーザー計測をした場合、小数点第3位(mm)まで数値がでますから、図面に記載する数値は第3位を四捨五入すればよいです。例:測定値2.867 ⇒ 記載値2.87
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①図面タイトルと縮尺を記載します。
②店舗の入り口を三角形で表します。
③店内の寸法は内のりで計測しますが、営業所面積の求積範囲は内壁から10cm(記載値上は0.10)外側を壁芯として、壁芯から計算します。
例では内壁を計測したときの横幅は4.20mですが、営業所面積は左右それぞれの内壁から0.10m外側に壁芯があることになり、営業所の横幅としては4.40mとなります。
このあたりの感覚は初めは戸惑うと思いますが、あまり深く考えずにそういう決まりなんだと捉えてもらってよいです。そして図面上では壁芯を青線で表します。
④客席内のテーブル、イス、ソファ、飾り棚などを図面の縮尺に合わせて記載します。A、B・・といったアルファベットは、それぞれ客が利用するイスなどの設備の種類を分けて記載したものです。
平面図とは別にこれらの設備を記載する「客席凡例」と対応しています。※関連ページ自分でやってみよう!バーの深夜営業届出 図面作成 番外編【客席凡例】
⑤調理場内の設備もわかりやすく記載します。
⑥客席の範囲は赤線で囲みます。CADの複線機能をうまく活用すれば内壁の線と重ならないようにギリギリで赤線を書けます。通路との境目についてはドアなどで仕切られていないため、どこで線を引くか判断に迷うところかもしれません。この場合ある程度わかりやすいところで区切れば殆どのケースで問題ないです。
画像の例ではトイレを囲んでいる客席用手洗器側の壁からカウンターにぶつかるまで延長線を引き、その線を客席の境界線としています。※あくまでも図面上の境界線ですので、実際の店舗に線があるわけではないです。
⑦客席内の縦の最長寸法は必ず記載するようにしましょう。
⑧同じく横の最長寸法も記載してください。
⑨調理場の範囲は緑線で囲みます。客席と同じく、縦と横の最長寸法をそれぞれ記載します。
⑩カウンターは高さを記載します。また客室内に飾り棚、つい立てなどがある場合も高さを記載します。風営法では客室内に見通しを妨げる高さ1.0m以上の設備を設けてはならない決まりになっているので、それを示すためです。
また背もたれの高いイスなども1.0m以上の高さがあるとダメですので注意しましょう。
⑪用途別の面積を記載した表です。ここについては、それぞれの根拠となる求積図を別紙で作成しますので、それと合わせて同じ数値を記載します。詳しくは別ページにて解説しますので、そちらもご参考ください。
いかがでしょうか。ちなみにこの作成例はあえてわかりやすくシンプルな図面にしています。実際の店舗はこのような長方形の間取りはむしろ少なく、複雑な形の方が多いでしょうから、店舗内の計測、作図さらに面積の計算もこの例よりもはるかに難しいと考えてください。
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